知っておきたい徘徊時の間違った対処法

認知症の症状の中でも、徘徊は本人にとっても危険な行動となるだけでなく、介護をしている家族や周囲にも迷惑をかけることがあります。徘徊を止める絶対的な方法は、今のところありません。しかし、徘徊の原因や基本的な対処法を知ることで、徘徊の頻度を減らすことは可能です。

徘徊する認知症の高齢者は、短期記憶と見当識が低下している状態で、時間や場所の認知が歪んでいます。たとえば、子供はとっくに成人しているのに、認知症の高齢者の頭の中では子供はまだ小学生のままである。あるいは、何年も前に退職したのに、まだ仕事をしていると思っていることもあります。
高齢者が徘徊したときに、怒るのは逆効果です。本人にとっては出かける理由があるためです。子供がまだ小さいと思い込んでいる場合は、子供を心配して探しに行こうとしているのかもしれません。
まだ勤めていると思っている人は、仕事に行こうとします。このように考えている人を怒っても、本人は起こられた理由が理解できず、ただ怖い思いをしたという嫌な記憶だけが残ります。
「なぜ出かけるのか」などを聞いて、不安な気持ちや心配なことを取り除きましょう。
不安を取り除くためには、手続き記憶を利用します。手続き記憶とは、服を着る、料理をするなど動作にかかわる記憶です。本人が自信を持ってできることを提案し、出かけようとしていたら、「洗濯物を畳むのを手伝ってくれない?」と提案したり、若い頃に興味を持っていた趣味を試してみるよう促します。

このような理由から、自信を持ってできることを行うと、安心でき、徘徊が落ち着いてくるケースがあるのです。